神職にある人が厳かな雰囲気の中、左、右、左と振っているもの、あれは「大麻」です。
発音は「たいま」ではなく「おおあさ」または「おおぬさ」です。
この日本語の特徴を活かして、「振込用紙に大麻と書いて渡したら危うく通報されそうになった」「大麻の商談をしていたら警察に連絡された」といった笑い話が作られています。
神事に振るものは、今でこそ棒の先から紙がぶら下がっているのを多く見ますが、その昔はアサを使用していたのです。
アサの中でも、芋麻(チョマ ラミー、カラムシとも)というイラクサ目イラクサ科の多年生植物で、陶酔感や多幸感の成分(THC等)を含む大麻草とは別の植物です。
神事に振るうものは「大麻(おおあさ)」ですが、使われている素材は「芋麻」であり、植物の「大麻」とは別物になります。
なかなか面白いとは思いませんか。
しかし、これは今の大麻に対する社会的な認識を表しているようにも見えます。
同じ単語・発音で別のものを指すことが多いのです。
「麻(あさ)」と表示すれば、通常は「麻繊維」の事を指します。
そして、「アサ」と表示すると、今度はアサ科やイラクサ科の植物を指すのです。
非常に紛らわしく、これでは会話になれば、その文脈の中かで何を話しているか想像しなければなりません。
「大麻(たいま)」というと、大麻草という一年草の植物を指すのですが、その中でもTHC等をほとんど含まない植物をヘンプといいます。
ヘンプは繊維の採取が目的の品種であり、茎に多く含まれていることから、背がとても高く育つと3~4mにも上ります。
逆に、THCやCBDを大量に含む植物は、数十センチととても低いのです。
そして、こちらは「カナビス」と呼ばれています。
両者とも、日常的に「たいま」呼んでいるのではないでしょうか。
ネットを見る限り、両者は区別されていません。
ですが、ヘンプとカナビスは別物です。
「ダメ。
ゼッタイ」と陶酔作用を危惧して叫んでいるのは、カナビスの方を指しているのでしょうが、しかし日本語にするとこれも「大麻」という単語が付けられているのです。
そのため、両者を区別するために、ヘンプを「産業用大麻」と呼び、カナビスを「医療大麻」といって区別している人もいます。
必ずしも医療大麻=カナビスではありませんが、理解の妨げになるよりずっといいかもしれません。
そして、マリファナという単語も目にする事が多いでしょう。
嗜好品として吸引するものを指し、これが取り締まり対象になっているのですが、これも「たいま」と呼ばれる事があるのです。
タバコの代替品としてスペインで開発されたものがマリファナです。
荒地でも育つ植物であるため、安いタバコとして米国に伝わり、そこから全世界にその呼び名が伝わっていきました。
肝心の「大麻」ですが、これは中国が由来です。
「胡国」から伝わった油の採れる植物を「胡麻」と表示し、中国在来の麻に大きく育つことから「大」と付けたと言われています。
言葉はともかく、産業用も医療もその性能は素晴らしいと言わざるを得ません。
ただ未知の部分もあることは確かです。
ですが、その事を言葉による思い込みで、危険と捉え、検討すらしないのはとても残念に思います。

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